カナダ・BC州で保育士として働くうえで、必ず取得・更新しなければならない資格のひとつが「First Aid/CPR(応急処置)」です。
カナダではこの資格に有効期限があり、3年ごとにリニューアルする必要があります。
今回は、バンクーバーにある保育施設が自園の先生向けに開催したファーストエイドのワークショップに参加させてもらいました。通常であれば100ドル前後かかることも多い講習ですが、今回はご厚意で無料参加。朝8時半から夕方5時までの丸一日コースで正直体力は使いましたが、結果的には「今までで一番学びが多く、楽しかった」と感じる講習となりました。
何度受けても新しい発見がある、First Aid/CPR講習
ファーストエイドの講習自体は、これまで何度も受けてきました。
しかし、今回改めて感じたのは、内容は少しずつ進化・変化しているということです。
3年前に学んだ内容と比べても、考え方や対応方法がアップデートされており、「知っているつもり」になっていた部分が実は古い知識だった、という場面もありました。
インストラクターの方もとても明るく、実際の現場で起こり得る具体例を交えながら説明してくれたため、長時間の講習でも退屈することなく集中できました。
「定期的に更新する意味」を、頭ではなく体感として理解できた一日だったと思います。
「小さな怪我」でも必ず共有する理由
今回、特に印象に残った学びのひとつが、保育士自身の怪我の扱いについてでした。
保育現場では、子どものケガなどについては小さいものだとしても必ずお互いに教え合い、保護者とも共有するのですが、よほど大きな怪我でない限りスタッフ同士で情報共有をしないことも少なくありません。
しかし、インストラクター曰く「どんなに小さな怪我でも、必ず誰かに報告するべき」とのこと。
その理由は、小さな傷だと思っていたものが、後から感染症を引き起こし、深刻な状態になる可能性があるからです。実際、紙で指先を切っただけの傷から感染し、最悪の場合、指を切断するケースもゼロではないそうです。(レアケースではありますが)
また、怪我が仕事中のものであった場合、WorkSafeBC(労災保険)への申請が関わってきます。
誰にも報告していなかった場合、「それが仕事中に起きた怪我である」という証明ができず、補償を受けられないこともあるそうです。
さらに重要なのが、医師に診てもらうこと。
カナダでは、ERに行っても数時間待つことが珍しくありませんが、「保険会社は基本的に支払いたくない前提で動く」という考え方の中で、「当事者が治療のために行動した」という事実がとても大切になるとのことでした。
この視点は、私自身今まで幸運にもケガなどをしてこなかったので、持っていなかった発想で、今後は職場でも意識して共有していきたいと感じました。
子どもの怪我対応と、現実的な応急処置
子どもの怪我対応についても、改めて考えさせられる学びがありました。
特に印象的だったのが、バンドエイドの扱いと骨折時の対応です。
子どもたちは本当に個性がはっきりしていて、怪我をしていなくても「とにかくバンドエイドを貼りたい」子もいれば、明らかな傷があっても「絶対に嫌」と拒否する子もいます。
さまざまな考え方がありますが、今回の講習では、感染予防の観点から、基本的にはバンドエイドを貼るのが望ましいとのことでした。
出血を止め、傷口をきれいにしたうえで保護することは、細菌感染を防ぐためにも重要です。
特に、じっとしていられず、常に手を清潔に保つことが難しい年齢の子どもたちにとっては、現実的な対応だと感じました。
また、骨折時の対応についても衝撃的な学びがありました。
これまで定番だった三角巾を使った固定ではなく、子どもが今着ている洋服を使って固定する方法が紹介されたのです。無理に触られることを嫌がる子どもに対し、最小限の動きで対応できるこの方法は、とても合理的で現場向きだと感じました。
ファーストエイドキットに入っている安全ピンの存在にも、初めて「なるほど」と納得しました。

まとめ
ファーストエイドの知識は、本来なら使わずに済むのが一番です。
しかし、万が一のとき、子どもの命を守る手段になり得る知識でもあります。
3年も経つと、忘れてしまうことや、惰性になってしまうこともありますし、時代とともに「当たり前」が変わることもあります。
だからこそ、定期的なアップデートは欠かせないのだと、今回改めて実感しました。
朝から夕方までの長時間、しかも外は大雨でしたが、室内で集中して学べたこと、そして思っていた以上に新しい知識を得られたことに、帰り道は充実感でいっぱいでした。
これからも現場で活かせる「生きた知識」を大切にしていきたいと思います。



