保育の現場では、日々の小さな出来事の中に、子どもたちの考えや行動のパターンが見えてきます。それは文化や国を超えて共通するものです。一方で、大人の職場では、個々の事情を尊重しながらも、全体のバランスを保つためのルール作りが必要です。今回は、子どもたちの遊びや大人のルール作りから、「なぜその行動をするのか」を考えてみます。
子どもたちの絆創膏遊びに見える行動の理由
朝、子どもたちは人形遊びに夢中でした。その中で、「ベイビーが転んで怪我をした」と言い、絆創膏を貼ってほしいとやってきた子どもたち。紙テープを渡すと、一つひとつ「どこを怪我したのか」「どの角度で貼るのか」を確認しながら真剣に貼っていました。
以前からSNSなどで、日本の子どもたちが絆創膏を貼る遊びが好きだという話は目にしていました。こうした遊びは国や文化を超えて共通するもので、過去の経験や感覚に基づく子ども自身の判断が反映されやすいです。中には怪我をしていなくても貼りたがる子や、血が出ていても絶対に貼りたくない子もいます。こうした行動の背景を理解することで、子ども一人ひとりの個性や思考のプロセスを知る手がかりになります。
大人のルール作りが必要な背景
昼間には、園の新しいポリシーの最終案の見直しを行いました。テーマの一つは「自分の子どもが在園している保育士の配置とルール」です。基本的には、親子が同じクラスにならないように調整しますが、年齢構成や園全体のバランスを考え、3‐5歳のクラスは例外を認めることもあります。
みんなが同じ価値観で、同じ責任感を持って働ければ理想ですが、実際には大切にしていることや事情は人それぞれです。だからこそ共通認識としてのルールがなければ、不公平感や負担の偏りが生まれてしまいます。
個々の価値観や事情は違っても、全員が働きやすく、負担が偏らないようにルールを明文化することは欠かせません。誰か一方だけが不利になる状況を避け、職員全員が、100%ではなくとも、ある程度の納得感を持ちながら働けることが、組織としてのフェアさにつながります。
自由とルールのバランス
子どもたちの遊びには、自分で試して判断する自由があります。例えば絆創膏遊びも、「どこに貼るか」「どの角度で貼るか」といった小さな選択の連続で成り立っています。これは子ども自身が、自分の体験や感覚をもとに「こうしたらうまくいく」と試している行動であり、遊びを通して判断力や試行錯誤の力を自然に学んでいるのだと思います。
一方で、大人の行動にはルールや制約が必要です。職場全体のバランスや公平を守るためには、個人の自由だけではうまくいかないことがあります。ここでの「制約」は、相手や周りの状況を尊重しつつ、安心して活動できる環境を作るためのものです。
こうして見ると、子どもの自由と大人の制約は、対立するものではなく互いに補い合う関係にあります。自由に試す子どもたちの姿があるからこそ、安心して遊べる環境が必要ですし、大人のルールがあるからこそ、子どもたちは安全に、思い切り判断や挑戦をすることができます。
保育現場では、子どもたちの行動に注意深く寄り添い、大人は公平なルールを整える――この両方が揃って初めて、学びと安心感がバランスよく生まれるのだと感じます。
まとめ
子どもたちの絆創膏遊びのような、何気ない行動の中には、その子どもたちなりの経験や判断の積み重ねが表れています。一方で、大人の世界では、全体が安心して機能するために、ルールや調整が欠かせません。
自由に試すことと、環境を整えること。どちらか一方だけではなく、その場や関係性に応じて、ちょうどよい形を探していくことが大切なのだと思います。
忙しい日常の中では、こうした小さな出来事や違和感を見過ごしてしまいがちですが、立ち止まって考えてみると、人の行動にはそれぞれ理由があり、背景があります。
子どもを見る視点も、大人同士の関係も、「なぜそうするのか」と少しだけ考えてみることで、相手との距離感や関わり方が変わってくるのかもしれません。
保育の現場で感じたこの感覚は、特別なものではなく、私たちの身近な人間関係にも通じるものだと感じています。



