最近、保育現場でよく話題になるのが「保育園での昼寝時間」です。
家庭ではお昼寝がなくても問題なく過ごせる子どもでも、園では眠そうだったり、起こしてもなかなか動き出せなかったりすることがあります。
この記事では、カナダの保育現場での実体験をもとに、お昼寝の問題が起きる背景や、家庭と園の文化・環境の違い、対応の工夫について解説します。
お昼寝時間に見えるギャップ
保護者からは「〇時までに起こしてほしい」「最大〇時間(分)までで」といった希望が寄せられます。家で過ごす週末はお昼寝をしなくても全く問題なかったので、と。
しかし実際には、横になっている間に眠ってしまい、起こしてもぼんやりして動けない子や、目覚めが鈍い子もいます。特に雨の日や室内遊び中心の日は、昼寝後の目覚めに違いがあったりします。
家庭と園の違いが、このギャップを生む大きな要因です。
家庭では、自分の持ち物に囲まれ、信頼できる家族に見守られながら過ごし、自分のペースで動くことが出来るため、昼寝がなくても疲れを感じにくく、リラックスして過ごせます。
一方で園では、同年代の子どもと集団生活を送り、ルールやスケジュールに沿って行動します。「自分のことは自分でする」ことが求められ、周囲に気を配りながら過ごす時間が続くため、知らず知らずにエネルギーを消費します。
なぜ昼寝時間の制限を望む保護者がいるのか
保護者の中には、「夜は早く寝てほしい」という理由で、昼寝を短く、または無しにしてほしいという要望があります。目標とする就寝時間を聞いてみると7時半~8時程度と言われ、決して遅いわけではありません。そこには翌朝のことも含め親自身も夜の時間を落ち着いて過ごしたいという背景があります。
園では子どもの状況に応じて対応しています。昼寝時間の制限を希望する保護者の意図を理解しつつ、子どもにとって必要な休息を確保することも大切です。
北米で広く考えられている「自分で寝る力」
北米では、生後6か月ほどからスリープトレーニングを取り入れる家庭もあります。親と一緒に寝るのではなく、子どもが自分だけで寝る力を育てるため、自分の部屋で寝る練習をします。
この習慣により、保育園でのお昼寝でも保育士の介助なしにスムーズに眠れる子もいます。
ただ、園の集団生活では家庭と同じにはいかず、寝付きが悪くなる子もいます。年齢や体調、集団のリズムによる差があるため、園では子ども一人ひとりの状態を観察しながら対応しています。
そこでも「家では問題ないのに」と親御さんに言われることもあります。
夜の就寝時間を意識した昼寝の工夫
保育士としても、お昼寝の時間よりも夜の就寝時間の充実を重視しています。
「夜に寝る」という本来の生活リズムが子どもの成長に大切な要素だと考えているからです。
もし保護者の希望で「昼寝を短くしてほしい」という場合、可能な限り考慮していますが、園では子ども自身の年齢・体調・活動量などを考慮して調整します。
そこで私たちは昼寝の合計時間よりも夜の就寝までの活動時間を考慮する事を提案しています。
例えば、夜8時就寝を目標にする場合、午後2時ごろに起きることで就寝まで十分な活動時間を確保できます。
もし昼寝が3〜4時間と長くなりそうな場合は、周囲の音を出す・毛布をめくる・カーテンを開けるなど、子どもに負担が少ない範囲でやんわりと起こすこともあります。
家と園の違いを、どう伝え合うか
園では、夜の就寝時間の大切さを意識しつつ、子どもの体のサインを尊重しています。無理に寝かせたり起こしたりはせず、自然に眠ってしまった場合は、必要な休息と考えます。
そのうえで、家庭と園の環境の違いを保護者に伝え、子どもに無理のない対応を一緒に考えることが重要です。
例えば、
「園では集団生活なので、家でできるようになったことも同じようにはならないかもしれません」
と伝えることで、理解を得やすくなります。
天候や子どもの様子に合わせた一日の組み立て
保育では、天候や子どもの様子に応じて一日の流れを調整します。
バンクーバーは「レインクーバー」と呼ばれるほど雨が長く続きます。雨の日でも外遊びを数時間行い、体を動かします。そんな日は室内遊びの日より疲れやすく、昼寝のタイミングや長さにも影響します。
一方、天気の良い日は思いきり走り回れるため、体の使い方や疲れ方が異なります。天候や活動内容によって子どもの疲れ方や休息の必要性は変わることを理解し、柔軟に一日を組み立てることが大切です。
まとめ
保育園のお昼寝問題は、単に「寝る・寝ない」の話ではなく、家庭と園、文化や生活背景の違いが重なって生まれるものです。
同じ子どもでも、環境が変われば必要なサポートは異なります。
大切なのは、正解を探すことより、子どもの今の姿を見ながら保護者と対話すること。
その積み重ねが、子どもにとって無理のない一日につながります。



