カナダで保育

ゆったりした一日から考えた、カナダ保育現場の「頑張りすぎ問題」


今日は、久しぶりにとてもゆったりとした一日でした。
子どもの人数が少ない日だからこそ見えてくる、保育現場の空気やチームの在り方、そして「頑張ること」と「余裕」のバランス。普段は忙しさに流されてしまい、なかなか立ち止まって考えられないことを、今日はじっくり考える時間がありました。
そんな一日を通して、改めて感じたことをまとめてみたいと思います。


子どもが少ない日の、保育現場の空気

普段、私のクラスは子ども最大12人に対して先生4人体制で回していますが、今日は子どもが6人、先生は同じく4人という配置でした。そのため、クラス全体の空気がとても落ち着いていて、時間の流れもいつもよりゆっくり感じられました。

子ども一人ひとりと関わる時間にも余裕があり、ちょっとした表情の変化や言葉にも自然と目が向きます。こうした「余白のある時間」は、保育をする上で実はとても大切なものだと改めて感じました。

空いた時間には、普段なかなか後回しになりがちな棚やストレージの整理をしたり、私は事務処理を少しずつ進めたりしました。慌ただしく「こなす」のではなく、一つひとつを確認しながら整えていく感覚は、精神的にもとても楽でした。

余裕があるからといって、決して何もしないわけではありません。むしろ、余裕があるからこそ、環境を整えたり、次につながる準備をしたりと、保育の質を支える見えない部分にしっかり時間を使うことができます。


スタッフミーティングで見えた現実

仕事の後は、今月分のスタッフミーティングがありました。普段はZoomで行いますが、今回は同僚の一人が住んでいるコンドミニアムのパーティールームを借り、食事をしながら忘年会を兼ねたミーティングです。
最初に私と別のスタッフでコストコへ買い出しに行き、料理を楽しみながら、少しリラックスした雰囲気でスタートしました。

最初は食事を堪能し、ある程度落ち着いたところで、事前に用意していたアジェンダについて順番に話していきます。主任同士やマネージャーとの話の中には、すべてをオープンにできないコンフィデンシャルな内容もありますが、それでも必要な情報共有は欠かせません。

特に今回は、来年度に向けた人事の動きが多く、その点について重点的に共有しました。産休に入る先生、そのカバーに入るために契約更新をした先生、短期間だけクラスに入る先生など、今後しばらくは人の入れ替わりが続きそうです。

新しく短期でクラスに入る先生に関しては、オープニングとクロージングのシフトをどうするかが一つのポイントになります。これらのシフトは、場合によっては一人で対応することもあるため、事前の丁寧なトレーニングが必要です。今回は期間が短いこともあり、どこまで任せるかを相談しながら進めることになりました。


頑張りすぎるクラスが抱える課題

スタッフ同士の会話で一番盛り上がるのは、やはり子どもたちの話です。「この子がこんなことを言っていた」「子ども同士でこんなやり取りがあった」など、日常の中の小さなエピソードを共有する時間は、本当に楽しく、やりがいを感じる瞬間でもあります。

ただ、私たちのクラスには一つ大きな課題があります。それは、全員がとてもハードワーカーであること。個人としてもチームとしても仕事の質が高く、問題なく回ってしまうため、オフィス側からは「特に問題のないクラス」と見られがちです。

一見すると良いことのようですが、その結果、他のクラスが抱えている事情や問題を理由に、本来であれば私たちのクラスでなくてもいい仕事や役割が回ってくることがあります。
頑張れば頑張るほど仕事が増え、責任も増えていく。このサイクルは、北米の職場では特に起こりやすいと感じています。

不満を言えばいいわけではありませんが、「何も問題がなかった」という印象だけが残ってしまうと、サポートが必要な場面でも後回しにされてしまいます。大変だったことや、工夫して乗り越えたことを、きちんと言葉にして伝えることの大切さを、改めて実感しました。


余裕があるからこそ、できる保育

今日のように子どもの人数が少ない日は、散歩の際も先生と子どもが手をつないで歩くことができました。普段はバックパックの紐を持ったり、子ども同士で手をつないだりすることが多いのですが、今日は全員が「先生と手をつなぎたい」と言ってくれて、それを叶えることが出来ました。

余裕があるからこそ、一人ひとりの気持ちに応えることができる。余裕があるからこそ、普段は見逃してしまいがちな成長や変化にも気づける。これは、保育だけでなく、仕事全体に共通することだと思います。


頑張ることは素晴らしいことです。でも、頑張りすぎて余裕を失ってしまっては、本当に大切なものを守れなくなってしまいます。
余裕があるからこそ、より質の高い保育ができ、人間関係も職場環境も良くなる。そのためには、自分たちがどんな努力をしているのか、どんな工夫で乗り越えてきたのかを、きちんと伝えることも必要です。

今日のゆったりとした一日とスタッフミーティングを通して、「余裕をつくること」もまた、プロとしての大切な仕事なのだと、改めて感じさせられました。

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